僧侶的  いま・ここ

仏教とは、仏の教え、つまり、ものの見方の事                 【禁】複製・転載

家族葬

家族葬という言葉をご存知でしょうか?

最近では、家族葬専門と看板する葬儀社もあるようです。
まぁ、ほとんどの葬儀が、家族葬とも言えなくもありませんが。
だって、故人を送るのは、その家族だから・・・


家族葬とは、一般会葬者を呼ばないで、家族で故人をおくる葬儀の事。
故人とゆっくりお別れが出来て、しかも、葬祭費用があまりかからないのが利点だとの事。


「故人とのお別れの時間を大切にします」と「葬儀費用の負担が少ないです」が、誘い文句。


しかし、どうなのかなぁ、実際は?
親しく親しく見送るための家族葬なのかな?
それとも、もしかして・・・ただ、安いからの家族葬?

【ホントに、安いのかどうかは、わかりませんが・・・】




家族に葬がついて、家族葬。

なんだか、家族という素敵な言葉が葬られた気がしませんか?


家の意識も家長制度も崩れ、核家族になったこの国。

この言葉は、やがて、家族の本質を蝕み、そして、家族そのものを葬る事になる予兆なのかもしれません。



記事の続き
葬儀・法事


11 Comments

響く声

某霊園にて、知人の墓前でのお勤めを終えた時、すぐ傍で、大きな読経の声が響いてきました。
大きな鏧子<けいす>の音と、何人もの僧侶が、木魚にあわせて「大悲心陀羅尼」を読む声が。

けれども、そんな人の気配はありません。
不思議に思いながら、声のする方に近づいてみると・・・
初老の男性が、お墓の前に額ずいて、手を合わせておられました。
その横には、なんと、ラジカセが。


私の視線に気付いたのか、男性が振り返って言いました。

「これ、カセットテープなんですよ。今日は、女房の命日なんで。
坊さんを呼んで、法事をしようと思ったけど、お布施が高くって。
管理事務所に聞いたんだけど、5萬も6萬も払うのは、ちょっとね。
それで、考えたんですよ、結局、テープでも同じお経だって。
これなら、2千円位だったし、いつでも、好きな時に使えるなって」


なるほどな、と感心しつつ、その男性に申し出ました。

「ああ、それは、いい事を思いつきましたね。
でもね、せっかくの奥様のご命日だから・・・ここを、私が通りがかったのもご縁だから、よろしければ、ご回向させていただきますよ。
けど、カセットより、上手に出来るかどうかは、わからんけれど・・・」

「えっ、でも、お布施が・・・」と、ためらう男性。

「銭金だけで生きているわけじゃないから、いいんですよ」と、応えたところ・・・

「では、お願いいたします」と。


そして、男性と二人で、奥様の13回忌のお勤めをさせていただきました。
もちろん、カセットテープは流しませんでした。


お勤めの後、しばらくお話をして、帰り際に、一言、付け加えました。

「テープも素晴らしいけれども、ご自身でお経を覚えたらいかがですか?
そんな心持になれたら、きっと、佛縁が深まると思いますよ」

男性は、にこやかに、頷いてくれました。






もちろん、佛教は、金持ちのためだけの教えではない。
もちろん、佛教は、エリートのためだけの教えではない。

志半ばでのリストラや年金暮らし。
子供を抱え、介護の親を抱え、そして、借金も抱える。
株だ投資だと騒いでも、結局、甘い汁は多くはない。
みんながみんな、ベンツに乗れる生活はしていないのだ。

それでも、この現実の、この暮らしの中で、人は、よりよきものを、より美しきものを、そして、より尊きものを希う。

そんな時、貨幣を基準にして、その教えを敷衍する契機を逃していると・・・
カセットで用が足りる日がくるのも、遠くないかもしれない。






記事の続き
葬儀・法事


6 Comments

写真

棺の中の顔を携帯で写す人もいる世の中なれど・・・

通夜や葬儀の最中に、写真を撮って回るカメラマン。
葬儀社さんのサービスなのか、提携の業者さんなのか・・・

導師入場でパシャリ、法話をすりゃパシャリ、引導を渡しゃあパシャリ・・・

すすり泣く声を聞けば移動してパシャリ、焼香の時は待ち構えてパシャリ、棺に花を入れる時は大忙しだけどパシャリ、霊柩車に運ぶまでパシャリパシャリ・・・

しかし、いつ、この写真を見るのでしょうか?
この写真を見て、あの時はいっぱい泣いたねって?


葬式も結婚式も運動会も演芸会も、みんな同じスタンス。
久しぶりに会う親戚と写真を撮るのなら、控え室で、と思う私は古い人間なんでしょうね。




死への畏怖や畏敬の念もどこへやら・・・



記事の続き
葬儀・法事


9 Comments